羊と羊が暮らす牧草地の福利を考えて作る RWS認証
羊から羊毛をいただき作られた動物性の繊維、ウール(羊毛)。
肌触りが柔らかく、暖かい為、マフラーやニットなどに使用されているのを目にすることも多い素材です。
今回の記事ではウールの中でも、羊と羊が暮らす牧草地の福利を考えて作られたウールという事がわかる国際的な認証。
レスポンシブル・ウール・スタンダード(Responsible Wool Standard (RWS))についてお届けしたいと思います。
RWS認証とは
RWS認証ロゴマーク
Responsible wool standard(レスポンシブル ウール スタンダード)の略で、ウール原料における、羊の動物福祉の全体的な尊重を実践し、動物福祉の自由を尊重する事を意思表示する国際認証です。
ウール製造すべての工程(農場から販売まで)において、羊と羊の暮らす牧草地の福利に対して、正しく、間違いなく取り組まれ、管理されているかトレーサビリティを証明する事ができます。
認証を取得する際の基準内容は
- 動物の人道的な扱いを行っているか
- 放牧地の土壌の健康
- 動物の5つの自由を尊重すること
- 健全なサプライチェーンの構築
などが取り上げられます。
ウール製造の全ての工程において審査を受け、認証を取得することにより、RWSウールと認定されます。
なぜ、このような認証が作られたのでしょうか?
理由の一つとして、ウールを作る上で悲しい現実がありました。
ミュールジングの反対
「ミュールジング」という言葉を、聞いたことがありますか?
ウールを最も多く産出してくれるメリノ種の羊は、ウールの生産を目的として品種改良された羊。皮膚面積が大きく、皮膚にシワが多いことが特徴です。
皮膚にシワが多い為、そのシワに糞尿がたまりやすく、虫がわいたり、病気にかかることが多くあります。
「ミュールシング」とは、それを防ぐ為に、臀部(おしりや性器)を切り落とす方法です。
この残虐なミュールシングの方法は、羊を仰向けにし、四肢を固定しお尻を突き出した状態で無麻酔状態で行われます。そしてその後の治療は行われていません。
この劣悪な行為は主にオーストラリアで行われてきたと言われています。
動物としての命の尊重の面から世界中で問題視され、イギリスをはじめとした各国でミュールジングを、法律で禁止する動きが起きました。
世界中のアパレルブランドがミュールジングを施した羊の毛を使わないと宣言をあげています。
RWS認証の基準には、ミュールジングを行っていない、ノンミュールジングウールを使用する事が含まれています。
「羊に痛みを与えないで作られたウールを選びたい。」
そう思った際に、RWS認証タグの付いているアイテムを手に取ってみる事は、判断基準の一つとなります。
放牧地の土壌の健康
羊がより健康的な状態で過ごすには放牧地の土壌も健康であることも欠かせません。より良い土壌環境を作る為に最低限の農薬や肥料の使用量にすること等が求められます。
5つの「動物の自由」を尊重
動物の5つの自由(The Five Freedoms for Animal)とは元々は、牛や豚、鶏などの畜産動物の福祉の目標として、英国で生まれました。
<RWS認証 5つの動物の自由>
- 飢えや渇きからの自由
健康維持のために適切な食事と水を与えること。 - 痛み、負傷、病気からの自由
怪我や病気から守り、病気の場合は十分な獣医医療を施すこと。 - 恐怖や抑圧からの自由
過疎なストレスとなる恐怖や抑圧を与えず、それから守ること。
動物も痛みや苦痛を感じるという立場から肉体的な負担だけでなく、精神的な負担もできる限り避けること。 -
不快からの自由
温度、湿度、照明など、それぞれの動物にとって快適な環境を用意できている。
(1) 自由に身体の向きを変えることができ、自然に立つことができ、楽に横たわることができる。
(2) 清潔かつ静かで、気持ちよく休んだり、身を隠すことができる。(3) 炎天下の日差し、雨風を防ぐことができる。
(4) キツすぎる首輪など苦痛のある飼育環境にいない。 など
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動物本来の行動がとれる自由
各々の動物種の本来の生態や習性に従った自然な行動が行えるようにすること。
群れや家族で生活する動物は同種の仲間と生活でき、また、単独で生活する動物は単独で生活できること。
サプライチェーンの確保
RWS認証は、農場からその後の加工工場、製品が出来上がるまでの全ての工程での審査、認証取得が必要であり、サプライチェーンを築く必要があります。工程の中で一つでも取得をしていない場合、認証を取得することは出来ません。
最後に
いかがでしたか?今回はRWS認証についてご紹介いたしました。羊と羊が放牧する土地の福祉を考えたウールを選択したいと思った時に、RWS認証タグが付いているアイテムを手に取ってみるのは選択肢の一つだと思います。
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出典