持続可能な素材の一つ【リサイクルポリエステルとは】バージンポリエステルとの違いは何か
普段私たちが着ている衣類の6割に使用されていると言われるポリエステル繊維。実は生産時に多くのCO₂を発生させ、大切な石油資源を大量に使用することが今、問題視されています。
今回の記事では、ポリエステルについてやメリットデメリット。そして問題を改善するために使われることが増えた、リサイクルポリエステルはどんな繊維なのかお届けします。
【初めに】ポリエステルってどんな素材?
ポリエステルとは化学的に合成された原料のみから作られる「合成繊維」に分類されている繊維の一つ。主な原料は「石油」です。
石油の成分から“キシレン”という物質を取り出し、これに他の化学物質をくっつけ、さらにこれらの物質を何百万個とつなぎ合わせて“ポリエステル繊維”の原料である“ポリエチレンテレフタレート”と呼ばれる物質を作ります。
“ポリエチレンテレフタレート”を熱で溶かし、金口などの細い穴から押し出して、冷やして固めて繊維が作られます。
素材の特徴は
- シワが付きにくい。
- 速乾性が高い。
- 洗濯等のお手入れがしやすい。
- 特有の光沢感がある。
- 滑らかな質感。
- 強度が高い
などが挙げられ、とても扱いやすい素材ということから、普段私たちが着ている衣類の6割はポリエステルで作られているとも言われます。加えて水の使用量と廃水の点では、従来の天然繊維よりも少なく環境への影響が小さい点もメリットです。
バージンポリエステルの生産による環境への影響
石油使用による資源不足
ポリエステルの主原料は石油。
石油資源の枯渇が問題視されている中、年間約7000万バレルの石油がポリエステル繊維の製造に使われています。
製造時のCo2発生
ポリエステルの生産1㎏あたり14.2 kgの二酸化炭素が発生すると言われます。
日本化学繊維協会の報告によると国内だけでも年間120,174㌧のポリエステルが生産されたというデータが出ています。つまりポリエステルの生産により年間で約1490メガ㌧の二酸化炭素が発生しているのです。これは地球温暖化に大きく加担している現状があると言えます。
衣類廃棄問題
日本でも年間で約50万㌧の衣類がゴミに出されています。
そのうちの95%は焼却か埋め立てによって処理がされています。焼却の際は二酸化炭素がまた発生し、埋め立ての場合もポリエステル繊維の強度が高いという特徴が裏目に出て、自然に還るまでに200年もかかると言われています。
この為、ポリエステル繊維で作られた衣服の破棄に対する、高い環境負荷が問題視されています。
このような環境に対する悪影響から、元々あるポリエステル製品をリサイクルし、ポリエステル繊維を再び作るというリサイクルポリエステルが注目を浴びています。
リサイクルポリエステルとは?
化学繊維製品やペットボトルなどを、リサイクルして新たに作られるポリエステルのことです。リサイクル方法には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルがあります。
マテリアルリサイクル
マテリアル=材料という意味の通り、プラスチック素材を選別・粉砕・洗浄等を行い「材料」として利用される方法です。
ペットボトルのリサイクルからできるリサイクルポリエステル(R-PET)のほとんどは、マテリアルリサイクルで生産されます。
ケミカルリサイクル
プラスチック素材を熱や圧力で化学的に分解し、製品の原料などとして再利用する方法です。そのため、用途も多様で、新たに出来た糸は新品と同様の品質が得られます。
リサイクルポリエステルを利用することで、バージンポリエステル(未使用ポリエステル)と比較して59%のエネルギー削減、32%のCO₂排出削減を達成が報告されています。
現在、衣類に使用されているポリエステルは、ほとんどがバージンポリエステルです。ゴミとして廃棄された衣類が再資源として利用されるのはわずか5%。そして衣類や繊維製品に、リサイクルポリエステルとして使用されるのはごくわずかです。
リサイクルポリエステルのお手入れについて
基本的にはポリエステルの、お手入れ方法と同じで大丈夫です。
洗濯後にアイロンがけをするときは、テカリ防止のための当て布をして、中温(140-160度辺り)でかけると、生地に影響が出ません。
又、ポリエステル繊維の衣類はバージン・リサイクルどちらかに関わらず、洗濯の際に目に見えないマイクロプラスチックが水と共に流入し、海へ流されています。
その量は年間50万㌧にも及ぶ量です。(ペットボトル500億本分)
多くの海洋生物たちがマイクロプラスチックを誤って食べて健康被害を受けています。また、その生き物の命を頂き、生活をしている私たちの体にも、巡りにめぐってクレジットカード一枚分位のプラスチックが蓄積されていると言われています。
このような状況を改善するために、衣類は洗い過ぎず、必要な時だけ洗う事を心がけましょう。
またマイクロァイバーが流出しにくい洗濯ネットもあるので、洗濯の際は利用する事もおすすめします。
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【参考にしたサイトと資料】
環境省:サステナブルファッション
日本科学繊維協会
地球環境センター: リサイクルって温暖化対策になるの?